物流コスト戦略を考える場合、顧客に対する物流サービスとトレードオフの関係にあることから、
サービスを下げずにコストを下げるのは難しいと言われる。
顧客側としても、基本的に物流コスト削減意識があるなか、ジャストイン配送、多頻度小口配送、
指定時間配送等さまざまなきめ細かい要求が増えている。したがって、経営者は物流コスト削減を
叫ぶとき、商取引・商慣行の改善、取引先との条件見直しなしでは、物流の改善は難しいということに、
ある程度覚悟を決めてかかる必要もある。
しかし、この一般理論にいたずらな恐れを抱いて逡巡するより、思い切って実行した方が
事実上の解決策が見つかることが多い。とくに中小企業の場合、物流システムのレベル自体が
遅れているがために、物流サービス面で苦労している例が多く、物流コスト戦略のための諸施策を
実施していく過程で、かえって顧客への物流サービスが向上することも多く見られる。
また、物流コスト戦略を進める過程で、顧客との情報共有化をはじめ、新しい物流サービス付加の
アイデアが出て来ることも多い。建築現場などへの資材・機器直送なども、梱包材持ち帰りの原則が
厳しくなっている時節柄、有料での直送提案がかえって顧客に喜ばれている例もある。
サービス競争と物流コストの関係は、顧客サービス優先で考えるのが原則ではあるが、
コストが上がらないように工夫することが、コスト削減の方法が見つかるだけでなく、
商売の高付加価値化の創造機会でもあると考え、前向きに取り組むべきである。
物流コスト戦略はまず実行することが何よりも大事な所似である。
以上
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