企業の一般的な経営計画書には、「物流の改善により物流費用の効率化を図る」と
いうような表現をよく見かける。しかし、物流コストの削減はこのような一般的取り組みでは
絶対効果が出ない。なぜかと言うと、物流コストについての実質責任者は通常存在して
いないからである。物流コストは、経営組織の生産・仕入・販売・物流など各部門の活動の
総合結果として発生するものである。
例えば、物流コストの大きな要因となる、過剰在庫がなぜ発生するのか考えてみればよくわかる。
したがって「各関係者が、何を、どのように」取り組むのか明確にしないと効果は出ない。
組織全体に物流コスト改善を意識させるには、経営全体のために、なぜ今やらねばならないのか、
その目的や目標を明確に示さねばならない。例えば「競争環境の激化に耐え抜くため、
経費を○○縮減せねばならない。そのうち半分の○○は物流コストの縮減を行う」などと、
宣言し危機感を訴えないといけない。ある中小企業の社長は「このままでは、
人を減らさざるを得ない。管理職たちは、知恵を絞って物流コストを削減するか、
または部下の首を切るのか真剣に考えて欲しい」と訴え、大幅な物流コスト削減を実現した。
このようにしてこそ組織が真剣に協力し取り組み、初めて成果が生れる。物流コスト戦略は
それをやる価値が大きく、また実行できる経営課題なのである。
以上
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