現代の物流改善は単なるコスト削減にとどまらない。物流コスト改善の大きな柱は
トータル在庫縮減に関連しており、在庫を効率化しようとすれば企業のあらゆる活動を連動させて
考えねばならない。
このようにして物流コストを削減しようと考えるのが、すなわちロジスティクスの思想であり、
取引先をも含めてこれに取り組もうとするのがSCMの考え方である。したがって、
いまや物流コスト戦略を考える時、企業内全組織を動かすためには、経営トップの旗振りが
ぜひ必要になってくるのである。
そして、ロジスティクスやSCMへの取り組みの優劣は、企業格差を生む原因になりかねない
経営戦略の重要要素となって来ているので、経営トップが陣頭指揮せねばならない必須課題である。
現代の経営総合力の差は、従来からの開発力・生産力・販売力に加えて、物流コスト力にもあると
言っても過言ではない。
一方、企業の費用節減面でも、物流コスト戦略は相変わらず最大の関心事である。
社団法人日本ロジスティクスシステム協会調査の「2010年度物流コスト調査」によると、
わが国の全業種の売上高物流コスト比率は2001年の5.45%から4.79%に低下しており、
企業は懸命の削減努力をしている事が解かる。それでも物流コストは経営にとって相変わらず
負担の大きい費用である。さらに最近は、物流の仕組み改革が、経営全体の効率化につながる
傾向も出てきており、その意味でも物流コスト戦略の追求は経営者にとって
経営革新の宝の山でもある。
以上
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