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第116回
自分にあった経営のやり方
2013/7/1


 社長には、販売に適性がある人と、ものづくりに適性がある人がいる。
 もちろん、どちらがよいというわけではない。

 ホンダの創業者である本田宗一郎氏は、明らかにものづくりに適性のある人だった。
 ものづくりへの情熱で、ぐんぐん人を引っ張っていった。
 中小企業にも、ミニ本田宗一郎のような人物はたくさんいる。
 販売に適性のある経営者としては、たとえば日本マクドナルドの藤田田氏がいる。
 ダイエーの中内切氏やイトーヨーカドーの伊藤雅俊氏など、流通で大をなした経営者も、
 販売に適性のある社長といえるだろう。彼らはみんな、自分が好きなことを一生懸命にやって
 成功している。好きなことだから、成功したのである。自分はものづくりが好きなのに、
 販売に一生懸命になったり、本当は販売が好きなのに新製品開発に多くの時間をさいたりしても、
 なかなかうまくはいかないのである。

 したがって社長は、自分がどのような性格なのか、どういう方面に適性があるのかを、
 まずきちんとつかむ必要があるのである。自分というものをちゃんと知っていなければ、
 「誰かがこういうやり方をしてうまくいって いる」という話を聞いて、ついそちらに
 なびいてしまうということになる。自分らしくなくても、そのやり方がいいのではないかと思って、
 真似をしてしまう。ところがそれではうまくいかないから、ほかの人に「このやり方がいい」と言われれば、
 またそちらになびいてしまう。ふらふらして、方向性が定まらない。

 大切なことは、自分らしさに、自信をもつことである。しょっちゅう怒鳴り上げていなくても、
 自信のある社長には、人はついていくものなのだ。
     以上

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