その理由もはっきりしている。それはまず第一に、社員の朝の仕事ぶりを監督するためである。
社長が十時、十時半に出社するようでは、それまで社員たちが何をやっているかが、
さっぱりわからない。「いや、うちの社員はみんな真面目だし、彼らがちゃんと出勤時間を
守っているかどうかは、タイムカードを見ればわかるから」と言う人がいる。
しかしそれも、大きな間違いである。朝遅く出社する社長に甘さがあるように、社員たちにも
甘さがあるのだ。どんなに真面目な社員たちでも、誰も見ていないときには仕事の手をゆるめる。
そのほうが楽だから、社長が遅く出社することに対しては、社員たちは大歓迎である。
遅く出社すると歓迎されるから、社長はますますこれでいいのだと考える。
「別にサラリーマンではないから」と、自分の立場が向上したような気分になって、遅く出社するのである。
これでは朝のスタート時の重要さを、誰も認識しなくなる。そうしてだんだん、
会社がうまくいかなくなってくる。
以上
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