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第165回
小売業の創業事例(3)
2017/8/1


 4.開業までの課題解決

  開業に向けての最大の問題は、内装工事の費用と工期であった。当然より良いものをということになり、
 見積よりは、確定のほうが工事金額も高くなるし、引渡し時期も遅れるというのが普通である。
 金額が大きいだけに、見積と離れて高くなればなるほど、また工期がずれて、開業が遅くなれば
 なるほど、収支のバランスがくずれて、資金繰りに苦労するものである。

   しかし、当社は、やはり経営計画で厳密な設備投資計画と売上基本計画を策定してあったので、
 3人が強い交渉を行い、予算以内に工事費も収まった。同時に、スケジュール化した実行計画も
 作っておいたため、事前に開業用チラシやHP上に日時を入れたオープン広告を打っていたのもあり、
 工期も最後は突貫工事的な部分もあったが、予定内に収まった。

   以上のように、厳密な設備投資計画と損益予算と資金繰予算をつくってあったので、
 全員がそれに収めようと努力した結果、支出は予算通りの3,300万円以内におさまり、
 開業後もある程度の余裕運転資金の確保が出来た状態になっている。

   志が同じだったということが一番の成功の要因だが、それを文書化して、経営理念・長期ビジョンに
 まとめたことによって、さらに具体的な道標ができ、3人のベクトルが完全に一致したことが大きい。
 さらにそれを補完する長期の数値計画と行動計画を作り上げたことで、3人の進む道が決まり、
 それに対するコミットメントができた。あとは邁進するのみで、自信に満ちあふれた不安を感じさせない
 態度で、銀行交渉・業者交渉・人材採用ともに当たれ結果を出したのである。
 実際はまだスタートラインに立っただけの段階だが、経営計画の重要性は身にしみて感じているので、
 長期ビジョンの達成に期待が持てる会社である。
 本稿は、経営理念の部分と数値計画の一部を抜粋デフォルメして掲載したので、
 参考にして、企業発展に役立てて欲しい。                          以上

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